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[ 壱州人辞典 No.104] island kiss innocent:ウジトモコ

東京都生まれ東京都育ち。初めて住民票を移した先が壱岐島だった。祖母と母と姉がデザイナーで、幼いころからデザインに興味を持ち、webデザインの黎明期に会社を設立。壱岐に移住後は、イキビズで企業の相談にのったり、情報発信をしたりしていた。現在は、デザインの仕事をしながら、石田町で”Island kiss innocent”というガーデンカフェを営んでいる。

 

Q1 .どうして壱岐島への移住を考えたのですか?

子育てが終わったタイミングで一瞬、燃え尽きたというか、自分の青春は終わっちゃった、と思ったことがありました。ところが、人生の後半、終わるどころか、意外と先が長い…。

そこで博士号を取るために大学院に行こうかな、とか、四季折々の花や自然と触れる機会を増やしたいから地方の仕事を増やそうかな、とか思いあぐねていた時に、知人がfacebookで「イキビズ」のコンサルタント募集記事をシェアしていたんです。

「島を盛り上げてくれるコンサルタント募集!」って。

それで、壱岐島にはふんだんな資源がありそうだから磨き上げて島外にアプローチする「デザインコンサルタントに価値があります!」「私しかいません!」って、すごい熱量でプレゼンしまして。結構な応募の数があったらしいのですが、かなり高い倍率の中で採用していただけました(笑)。

当時、ほぼ二人で事務所を回していたのでなかなか大変でしたが、やりがいあるお仕事でしたよ。イキビズでいろんな事業者さんにお目にかかれたこと、デザインできたことは、私の人生の財産です。

左から『IKIKATUSMOTO(漁師のお守りロゴデザイン)』『イチノ珈琲焙煎所(ロゴデザイン)』『壱岐の海ごはん(ブランドロゴ)』※本人提供

 

色々あってイキビズは解散となりましたが、そのあとすぐにコロナがきて、逆にオンラインで東京の仕事もできるようになったんです。それで、「いつ、帰るかなぁ…」「そろそろ帰るかもね…」なんて言いながら、いつまでもそのままでいる感じです(笑)。

 

Q2.壱岐で暮らしてみての印象を教えてください。

移住して6年目になるのに、まだまだ、驚くことだらけですね。毎日のように見たことのない種類の植物に出会うし、夏は海の生き物がいっぱいいるし。

そして、どこに行っても知り合いに会う(笑)。それは嬉しいことでもあるけれども、私たちのようなクリエイターにとっては「消えられる場所(しかも仕事が進む)」の存在も実は意外と重要だったりして。

東京にいたころは、仕事で行き詰まるとカフェを新規開拓したりして「雑踏の中の独り」になれていたんだけど、意外にそれがなかなかできないなぁとは感じていました。壱岐にも、スタバみたいなところは、ないかなって。

Q3.カフェをすることになったきっかけは?

イキビズでは空き家関連の仕事もちょっとだけあって、島内の空き家を見て回るうちに、自分も家が欲しくなりました。できれば海に近いところがいいな、と。

空き家バンクで見つけたこの場所(カフェのある場所)は、イバラと薮だらけの廃墟で、すぐに人が住める状態ではありませんでした。興味を持って物件を見に来る人もいたそうですが、荒れすぎていて、相手にされなかったそうです。

私の場合は本当に直感というか、勢いで購入を決めたのですが、よくよく考えてみたら、空港は近いし、土地は広いし、海が近くにあるし、まわりに民宿もあって、安心感さえ感じてしまう。実際にご近所さんもいい人たちばかりで、みんな優しくしてくれます。

庭を作って花が咲き始めると、この空間の素晴らしさを共有したくなって、みんなに「とにかく遊びに来て」って言い初めて、お茶会を開いたりしているうちに「カフェにしたら?(修理も早く進むかも)」と言われて、確かに!って。

それで、カフェにしてから実際にカフェ利用してみたら、自分で言うのもなんですがめちゃくちゃ快適で「私の求めていたものはこれだった!」ってなりました。夏の帰省で若い女性のお客さんなんかが「また、寄りますね!」なんて帰り際に行ってくれると、もう、お母さんみたいに嬉しくなっちゃう。

暴風と雨の日は、今のところ別世界ですけど(笑)。

 

Q4.これから、このカフェをどんな場所にしたいですか?

隠れ家みたいな、自分の存在を消して内省できるような、ゆっくりできる空間にしたいですね。石田町は壱岐島の中でも特に人口が少ないんです。でも、そこがいい。

ただ、本当に人がいないのではない、他の3町とは異なる「静かだから感じることができる、贅沢な賑わい」は生み出し続けていかないといけない。

そのためには、若い人たちの感性に響く「いつかは行きたい憧れのカフェ」みたいになる必要があるし、クリエイターのような情操豊かな人たちにとっても「また、いつか戻ってきたい、お気に入りの場所」にしなければならない(地方の少子高齢化の一番の原因は、若い女性が離れることが大きく起因しているというデータもあります)。

幸い、近くにIKI BASEというアーチストのレジデンスがあって、アート系の方はよく寄ってくださいます。皆さん、こだわりが強くて、審美眼のある人たちですから、そういう人たちにも愛される場所にならなくては…。

そのためには、豊かな自然があるだけでは足りなくて、そういったものをゆっくり楽しむ&リラックスできる空間(場)のデザインが必要だと考えています。

ちなみにデパートなどで売っているハーブ商品の多くは外国産で、農薬を使っているものもありますし、フレッシュじゃないとあまりおいしくないものも多いんです。うちに来られた方の中には「ハーブティーってこんなに美味かったんだ!」って驚かれる方も。

だから「壱岐島のハーブはこんなに美味しいよ!(お肉にもお魚にもお酒にもお野菜にもピッタリ)ってみんなに伝えたいし、ここでリフレッシュしたら心身ともに健康になってみなさんのお仕事も進むんじゃないかなと思ってます(笑)。

あと、余裕ができたらシルクスクリーンのアトリエを作って版画を刷ったりもしたいですね。幼いころからの夢で、お婆さんになってからでもいい、絵本作家になりたいです。

 

Q5.あなたにとっての壱岐を一言で表すならなんですか。

「大人の遠足」

東京生まれの私にとって、壱岐での生活は驚きの連続。「こんなに夜暗い?」「こんなに星って綺麗?」「こんなに風吹く⁉」「こんな雨降る⁉」とか「こんな花見たことない!」とか…

もちろん大変なこともあるけど、それがドキドキするし、まだまだ、冒険の途中みたいな感じなんですね。

今、カフェは「副業」の範疇を超えていないのだけれども、本業(デザインコンサルタント)にとっても、きっといい影響がある、って思って楽しくやっていますよ(笑)。

[インタビュー:下條悟士、文/写真:下條友紀]


【壱州人辞典とは】

地元出身者・移住者・年齢・性別問わず、壱岐に住む(暮らしている)を紹介していく企画です。
壱岐島の良さを伝えるには、その地に暮らす人にフォーカスを当てることが大切だと考え、魅力的だと感じる人を紹介していくことで「この人に会ってみたい。」「この人に 話を聞きたい。」という興味を持ってもらい、人が人を呼ぶようなサイクルを作りたいと思っています。
人から人へと辿っていくことで、私たちが知らない、壱岐の人もあまり知らない面白い人に出会いました。 


~壱州人辞典一覧はこちらから~

壱州人辞典 | いきしまぐらし 【壱岐市公式】(ikishimagurashi.jp)

≪この記事を書いた人≫

ゆきさん

祖父母が壱岐島生まれの隔世Uターン。地域おこし協力隊で情報発信を担当している。壱岐に来てから焼酎が飲めるようになった!

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