-猫、馬、羊、緑、美味しいもの、ステキなトコロとモノ、ものづくりが好き。2018年に壱岐市へ移住。15年ほど空き家だった店舗兼住居をセルフリノベして2021年夏からACB工房をオープン。東京都出身・芦辺町在住。-
Q1.壱岐に来るまでは何をしていましたか?
子どもの頃からモノづくりが好きで、美術大学の工芸工業デザイン学科を卒業し、仕事としてテーマパークから商品企画など色々なことに携わってきました。一貫して言えるのは日常必需品と真逆の、気持ちがあがる「付加価値」を考えることだったと思います。
趣味は、猫と遊ぶ、馬で駈ける、羊を食べる、好きな色で文字を書くなどで、草原を馬で駈けて風になる瞬間を味わいたくて、毎年夏にモンゴルの草原へ行っています。
Q2.壱岐で今どんなことをやっていますか?
ACB工房(アシベコウボウ)という創作活動の場を作りました。
芦辺の「赤い丸ポストから便りを送れる」「手がきや手づくりをたのしむことができる」をコンセプトにしたお店兼工房です。手づくりのポストカードや石けん等をおいています。
このポストからステキな思いを誰かへ伝える、その事自体を楽しんでもらいたいなと思っています。
また、化粧品製造販売業と製造業の許可をとり、企画、デザイン、製造、販売をしています。島にあるあちこちの温泉に行くうちに「自分で石けんを作ってみたいな」と思いつき、試行錯誤して商品化と販売まで出来るようにしました。
壱岐の海を思い出させる「お魚石けん」や原の辻遺跡の人面石をかたどった「人面石けん」などがあります。
石けんが商品になるまでには古くからの友人の沢山のご協力をいただきました。そして、工房を立ち上げるには島の仲間のご協力があって実現できました。本当に良い人たちに恵まれていると思い感謝しております。
それから、ワークショップで「自分でつくるおさかな石けん」も開催しています。参加者の皆さんの作品が本当に素敵で自分への刺激になっています。
工房の中には島の作家さん達に作っていただいた作業台や棚が設置されています。ステキな作品なので観るだけでも立ち寄りください。
Q3.壱岐に来て不便さを感じることはありますか?
今までは、東京や大阪の都心に住んでいたので便利でなんでも手に入るところでした。
ここでは、何かものを作ろうとした時に欲しいと思う材料や道具が手に入りにくい。通販でも配送できない地域とされることも度々あります。実際に見て触って選びたいのだけれど島にいては難しい。そこが不便には感じます。
あそこ行けばあれが売っているのになぁという比較論がなかったら、そうは思わないだろうけれど、知っているとそう感じます・・・。
美味しい魚を知っている人が、関東で魚を食べられないっていうのと一緒かな。美味しい魚をずっと食べていた人は、美味しい魚にこだわるでしょう。私は画材や材料をたくさん知っているから、そこを妥協することが難しい。このペンじゃないとか、この紙じゃない、どうしよう、みたいな。決してすべてにおいて不便と言うつもりはなくて、自分がこだわっているものに対して妥協をするのが難しい。暮らすには困らない。不便や不具合は知恵を使ってアイデア出しに繋がるし、最終的には簡単に手に入らないものになるから結果良しです。
Q4.あなたにとっての壱岐を一言で表すならなんですか?
「これが日本なのかな。」
移住して来た頃は、東京や大阪などの都心と島との違いにかなり戸惑い、日本だけれども外国な感じがしました。そのことで「何故だろう」と日々考えたし、「日本ってこういう国なのね」っていうことにも気づけました。都心ではない、地方がほとんどな日本は国として見るとこういうところなのだなぁって、両方をみてしみじみそう思った。都心だけ、地方だけで生きて来ていたら気づかなかったと思う。今は、あぁ、これが日本なのだなって思ったので「日本」。
それから、それに気づくのには・・・、たまたまの移住と努力の積み重ねが必要でした。
都心の方は分母が多いし、なんとなく自分と似たゾーンの人が集まってくるような社会になっているから、話もすごくしやすいし、暮らしやすいと思う。ここは分母が少ないから、全く違う事を考えている人とやり取りをしないといけないので、「たまたま」→「努力」→「たまたま」→「努力」→「努力」→「努力」みたいな日常です。努力が必要なのは足りないことがあるからで、その時の課題だと思っています。自分は、なぜ島に来たかよりも、島で何をしたかが大事だと思っているので、そういう意味では、まだまだこれからです。
Photo by 髙田望
【壱州人辞典とは】
地元出身者・移住者・年齢・性別問わず、“壱岐に住む(暮らしている)人”を紹介していく企画です。
壱岐島の良さを伝えるには、その地に暮らす人にフォーカスを当てることが大切だと考え、魅力的だと感じる人を紹介していくことで「この人に会ってみたい。」「この人に 話を聞きたい。」という興味を持ってもらい、人が人を呼ぶようなサイクルを作りたいと思っています。
人から人へと辿っていくことで、私たちが知らない、壱岐の人もあまり知らない面白い人に出会いました。
~壱州人辞典一覧はこちらから~