-壱岐市芦辺町出身・在住。諫早農業高校へ進学し、20歳まで島外で過ごす。高校時代は陸上部だったが、周りが強豪校だったので「ランニングをして海で泳いで帰ってくる」という練習メニューもこなしていた。5年間島外で過ごした時にできた友人とは、今でも交流があり糧となっている。国家資格の家畜人工授精師の資格も保有している。10ftのロングボードを乗りこなすローカルサーファー。前職は農協のガソリンスタンドで23年間勤めていた。-
Q1.壱岐で暮らすことの不便さを感じることはなんですか?
それが不便じゃないとですよ!
というのも移動する距離が、家から半径500mくらいの場所しかなくて。ATMも買い物をする場所もそれくらいの距離であるし、あんまり不便なことがないですね。
自分に時間ないだけですが、今はサーフィンになかなか行けてなくて、行けないことがストレスですね。(笑)前は朝、出勤する前に入って、スタンドで着替えていることもありました。その頃が30代前半でしたね。来たお客さんが「今日波あるよ」と教えてくれるような感じでした。
Q2.学生時代、何をして遊ぶ(過ごす)ことが多かったですか?
壱岐の中でも山手に住んでいるので、海は公民館の夕涼みの一環で行くくらいでした。夏休み最終日に海水浴をして、夜はBBQをするのが定番でしたね。それが唯一、海で泳ぐ日でした。他の日は学校のプールに行っていましたね。
あとは畜産農家の子どもならではの遊びをしていましたが、ちょっと言えないですね。(笑)
Q3.壱岐で今どんなことをやっていますか?
畜産農家と革細工をしています。もともと牛飼いは親がやっていて、その時は自分も勤めに出ていたので牛の数は少なかったです。掘っ立て小屋みたいな牛舎を平成7年に移築して、牛の価格も上がってきている状況だったので、自分なりに1頭ずつ増やしていきました。平成30年3月に勤め先を完全退職して畜産農家になりました。
仕事を辞めて、自営業になった時に、自己責任の世界に入りました。自分で目利きも価格競争もしないといけない。そう考えた時に、自分と向き合って、厳しくしないといけないし、「自分との闘い」だと思う気持ちが強くなりましたね。
革細工は26歳くらいから始めて、今46歳なので20年くらいやっています。人に喜んでもらえたら良いかなという気持ちで作っているので「すごい!」と言ってもらえることが1番うれしいです。
きっかけはTV番組で“革の財布を作る”という企画を見て、自分もちょうど財布が欲しくて作りたいと思いました。iモードでは画像を検索できないので、革細工の雑誌に載っている電話番号にかけて、キットと道具を買いました。
最初の頃は革細工のことを言っても「男が手芸なんて?」という反応で、手芸屋さんに材料を買いに行っても「何しに来たと?」という感じでしたね。(笑)でも周りに誰も革細工をしている人がいないという優越感もあります。
第1号はうちんと(妻)の財布を作りました。今はカード入れすぎてどら焼きみたいにパンパンになっています。(笑)
Q4.これから壱岐でどんなことをやっていきたいですか?
壱岐牛の革まで島内販売されているところがあれば、それを使って作品を作ってみたいと思っています。自分の作品は1つ1つ革に穴を開けて、手縫いで作っているので、一段と伝わるものがあるんじゃないかと思っています。
今の目標は、小学校の卒業記念に小さいランドセルを作って、名前と焼き印をレーザーで入れたものを渡したいと思っています。試しに今度の3月に、6年生の担任の先生と校長先生に渡そうと思っています。校長先生はおねだり上手で、ついついプレゼントしてしまいますね。(笑)
Q5.あなたにとっての壱岐を一言で表すならなんですか?
色々考えたんですけど、人それぞれ器を持っていると思うんです。その器も“知識”であったり“技術”であったり、“人に信頼される”とか“人に教える”とか。「それを大なり小なり磨く場所なのかな?」と最近思い始めました。
自分の器も“おちょこ”くらいかもしれないけど、その大きさは変わらなくても小さいなりに集中して出来ることを磨いたら、それなりに他の人に負けない力になると思っています。
それを出来てると?という話になると思うけど、それは人それぞれの時間があると思っています。才能のある人は短期間で出来る人もいますが、自分はアナログ派です。でもアナログにはアナログの良さがあるし、それの方が人に親しみやすく伝わる面もあるかなと、自分に言い聞かせながら続けているところもあります。
あとは最近どう?って聞かれた時に「絶好調」と答えてください。なんでかって言ったら、人それぞれ絶好調の日が違うじゃないですか。モチベーションや体調もあるけど、そう言っている方が、体もだんだん絶好調になるし、良いです!
Photo by 髙田望
【壱州人辞典とは】
地元出身者・移住者・年齢・性別問わず、“壱岐に住む(暮らしている)人”を紹介していく企画です。
壱岐島の良さを伝えるには、その地に暮らす人にフォーカスを当てることが大切だと考え、魅力的だと感じる人を紹介していくことで「この人に会ってみたい。」「この人に 話を聞きたい。」という興味を持ってもらい、人が人を呼ぶようなサイクルを作りたいと思っています。
人から人へと辿っていくことで、私たちが知らない、壱岐の人もあまり知らない面白い人に出会いました。
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