ー壱岐市郷ノ浦町初山地区出身。娘さんたちは嫁がれてご夫婦で生活している。市役所を退職後は米や野菜を作って、稲刈りが終わり次の田植えまでは趣味のプラモデル作りに精を出す。ー
Q1. 壱岐で今どんなことをやっていますか
退職して十数年経ちますが、毎日忙しくしています。都会の人はリタイヤしたら「今日は何しよう?」って退屈するんでしょう笑
春から夏は主に農作業をしており、家族で消費出来る程度の米や野菜を作っています。夏は草の生えるスピードが早く、10日に1回のペースで草刈りをしています。畑の周りや家の周りなど、草との追いかけっこです。
稲刈りが終わってからは農作業は休みです。その間趣味のプラモデルをして過ごします。倉庫を展示室、隠居を作業部屋として利用しています。若いころから続けている趣味です。まだ箱を開けていないものが200~300箱はあります。年齢を重ね、細かい作業をするときによく目が見えなかったり、手が震えたりしますが、没頭できて本当に楽しいです。
誰かに見せたいのではなく完成品を見てニヤニヤしてるのが好き、根っからのオタクです。
ギャンブルなんかしないでプラモデルをしてえらいもんでしょ、酒は飲むけど。笑
Q2. 失くなってしまった行事・習慣・郷土料理などあれば教えてください
「おこもり」という風習がありました。
1月は初講、2月は初午、3月はおこぼうさん、6月は天神様、9月は川祭り、11月は霜月という決められた日があります。その日に合わせて、近所の7~8戸家族で集まり食事や神事を行っていました。
メニューは決まって「ひきとおし(※1)」です。昔はどの家も庭先に鶏を飼っていたので、それをさばいていました。
神事については、地域に5カ所程祀っている場所があり、お酒、豆腐、なますを持ってお参りをします。
今は回数や参加家族数は減り、勤め人が多いので日程も土日に変更して、「おこもり」をしています。お決まりの「ひきとおし」を作りますが、鶏を飼っている家庭はなくなりましたので、鶏ガラと鶏肉をスーパーで買ってきます。ひきとおし、なます、魚の鉢盛りを頂きながら、男性はお酒を飲んで会話も弾みます。大人も子どもも集まってにぎやかで楽しいですよ。
※1 ひきとおし:壱岐の郷土料理で、客人をひきとおして(壱州弁で“座敷に通す”)ふるまった料理であることが名前の由来とされています。鶏や旬の野菜、そうめんやうどんをしょうゆベースの甘辛い出汁で煮込んだものです。
Q3. 壱岐の好きな場所はありますか
2箇所あります。
1つは海豚鼻。「初山まちづくり協議会」の方々が定期的に草切りをしてくれているので、歩いて通りやすくなっています。フェリーやジェットフォイルが見えるので船の時間を確認して見に行ってほしいです。天気が良いときには、佐賀県が見えることがあります。
2つめは久美(ぐみ)の尾。意外と知られてなのですが、壱岐で2番目に高い山です。 山から見渡す海がとても綺麗でオススメです。特に桜の季節は最高!!
Q4. 「実りの島、壱岐」と言われていますが、壱岐のこれが美味しい!好き!という食材(食べ物)はありますか
「ボタツ」です。濃いグレー色の小さい魚。別名スズメダイ。
5月~6月の短い期間だけの発売になります。焼いても、揚げても美味しいのですが、オススメは(※2)背切り。
時期になるとスーパーで売っており、「のもと寿司」で”にぎり”にしてもらうのも、最高です。
※2 背切り:魚を3枚におろさずに骨ごとぶった切って骨ごと食べるお刺身です。
Q5. あなとにとっての壱岐を一言でで表すならなんですか
壱岐は「余生をゆっくり過ごせる島」です。
若いときには夜に街頭もなく、波の音しか聞こえない退屈な島だと思ったこともありました。特にわたしが住んでいる「初山地区」は静かでそれぞれの家も離れています。今は思うがまま、のんびり過ごしています。
Photo by 田口有香
【壱州人辞典とは】
地元出身者・移住者・年齢・性別問わず、“壱岐に住む(暮らしている)人”を紹介していく企画です。
壱岐島の良さを伝えるには、その地に暮らす人にフォーカスを当てることが大切だと考え、魅力的だと感じる人を紹介していくことで「この人に会ってみたい。」「この人に 話を聞きたい。」という興味を持ってもらい、人が人を呼ぶようなサイクルを作りたいと思っています。
人から人へと辿っていくことで、私たちが知らない、壱岐の人もあまり知らない面白い人に出会いました。
~壱州人辞典一覧はこちらから~