【 壱岐島のいちご農家と畜産農家で農業体験をしてきた話(前編) 】
12月某日、曇り。朝は早かった。
私は移住にまつわる仕事をしており、
「壱岐に移住をして、農業をしたい!」
「畜産業で働いていた経験があるので、移住をしてからも畜産業に携わりたい!」
という相談を受けることが度々ある。
タイミングよく、壱岐振興局農業振興普及課の方からお声がかかり、農業と畜産業のお仕事を体験できることになった。
百聞は一見に如かず。自分が体験することで、より相談者に寄り添った対応ができる。
ハウスについて、長靴に履き替える。
中にはいると、みずみずしいみどりの葉っぱが整列して並び、合間合間に真っ赤になったいちごが実っていた。
この日はそのいちごを収穫させてもらった。
いちごにキズがつかないように、そっと人差し指と中指でヘタの上をはさみ、いちごを包み込むようにくるっともぎる。
もぎったいちごはケースに並べる。それを全レーン繰り返していく。
収穫のあとは、「ランナー」とよばれる茎を切る作業をさせてもらった。
ランナー切りをすることで、養分がランナーに奪われることなく、しっかりと実に行くようになる。
ハウスでいちごの世話をするだけではなく、事務所では出荷用にいちごの箱を折る作業もさせてもらった。
そうしたら朝早くからいちごをもぎり、夜にはパック詰めをする作業に追われて、いちご漬けの日々になると話を伺った。
「農業を始めるには金銭的にも負担がかかるし、覚悟がいる」という言葉は、移住をして農業を始めたい方には覚えていてほしいことだ。
またすごいことに、こちらの農家さんでは独立支援をするために会社を立ち上げている。
「もしイチゴに興味があるとか、イチゴ農家になりたいって人がいたらいつでも相談受け付けます。」
と心強い言葉も頂いた。
すっと覚悟の決まっている農家さんの姿は、これからの壱岐の農業を担っていく力強さを感じた。
私は半日の体験だけだったので、あっという間の楽しい時間だったと思ったけれど、毎日いちごに向き合い、育てるとなると、かなり体力も気力もいる仕事だと実感した。
ただ、早起きして体を動かし早寝をする生活は、とても理想的な暮らしにも感じる。
葉があおあおと茂り、花が咲き、実ったいちごが赤く染まっていく様子を見るのは、季節の移ろいに沿って生きているように感じた。
▷お世話になったいちご農家
*Strawberry Gang さん
*長崎県壱岐市芦辺町中野郷東触
photo by Nozomi Takada