Q1.自己紹介をお願いします
壱岐市勝本町で生まれ育ち、高校卒業まで地元で過ごしました。高校時代は吹奏楽部でサックスを担当し、卒業後は三重県の大学・大学院へ進学。専攻は「人文地理学」です。あまり耳慣れないかもしれませんが、地域の社会構造や都市の成り立ちなどを地理学の視点から考える学問で、現代社会のしくみを深く学ぶことができました。
大学では寮生活を送り、生物資源学部や工学部など、異なる分野の仲間たちと交流するなかで、自分の視野が大きく広がったと感じました。自分が知らなかった世界を知る経験ができたのは大きな財産です。
大学院修了後は、さまざまな経験を積んだ後に地元・壱岐にUターンしました。
わが家は代々漁師の家系で、祖父も夫もマグロ漁師。明治時代から続いている家業であり、自然と地域に根ざした暮らしを送っています。
Q2.現在のお仕事について教えてください
現在は「勝本浦まちづくり協議会」の事務局として、地域の課題解決に向けたサポートをしています。具体的には、住民の相談を受けたり、必要に応じて行政や関係団体とつないだりと、いわば“地域の相談窓口”のような役割です。
生まれ育った土地だからこそ、住民の方々から気軽に声をかけてもらえますし、大学で学んだ地域分析の知識を活かしながら、実情に即した対応ができていると感じます。勝本という地域は、漁業や観光、文化の継承、高齢化など、社会の縮図のような課題が身近に存在しています。そうした問題に地域で向き合うことに、やりがいを感じていますし、この仕事は自分にとって“天職”だと思っています。
地域イベントの企画にも携わっていて、今年の4月には「勝本浦でお買い物しよう!キャンペーン」を実施しました。参加店舗で買い物をした方にオリジナル手ぬぐいをプレゼントしたところ、大きな反響があり、用意した分がすぐに無くなってしまうほどでした。
また、5月は、今年で4回目の開催となる「朝市であさごはん」も企画しました。高校生や地域住民がボランティアとして関わってくれ、今年は126食を用意しましたが、わずか1時間で完売。壱岐の方だけでなく、観光で訪れた方々からも「応援しています」と声をかけていただき、非常にうれしかったです。
Q3.今後の目標や課題を教えてください
今後は、壱岐をもっと面白く、そして若い人たちにとって魅力ある場所にしていきたいです。進学や就職で島を離れる若者が多い中で、「また戻りたい」と思えるような経験や仕事の場を増やしていくことが課題です。
私自身、かつては壱岐を“普通の田舎”だと思っていました。でも、島外で暮らし、さまざまな経験を積んだことで、壱岐の文化や風土の多様性に改めて気づきました。言葉、地形、伝統など――これほど独自性のある地域はなかなかありません。その“面白さ”をもっと発信し、次の世代につなげていきたいです。
Q4.あなたにとって壱岐とはどんな場所ですか
「人間らしくいられる場所」です。良いことも悪いことも含めて、素直に喜怒哀楽を表現できる場所です。時には面倒なことやもめごとがあっても、それは人間らしさの一部。地域の皆が思いやりの言葉やねぎらいの言葉を自然と持ち、助け合いに手間を惜しまない。そんな当たり前の関係が壱岐には根付いていると日々実感しています。
