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壱岐の春の風物詩~全国的にも珍しい、海辺に咲く桜を眺める~

冬の厳しい寒さが過ぎて空気が暖かくなってくると、春に咲く花が楽しみですね。
壱岐では春になると海辺に咲く桜が咲きます。

そもそも桜は潮風に弱く、海の近くに咲く桜は貴重なものです。
しかし壱岐の桜はレベルが違います。それは岸辺ぎりぎりの岩盤のような土壌の上に塩水に浸かるように根を張り、幹から分かれた枝は下へ伸びて海面すれすれのところに花を咲かせます。このような桜は全国でもここだけではないでしょうか。

海桜と呼ぶにふさわしいこの桜は、島の西側に広がる半城湾(はんせいわん)で見ることができます。
ただし、半城湾を見下ろせる高台を探して見てみても、きれいな桜は望めません。湾を巡る遊覧船に乗って初めてその美しい光景に出合うことができます。

海桜はけっして派手なものではありません。
もともとは自生する筑紫山桜という品種のもので、それが長い年月の変異を経て海辺に適応していきました。ですから人工的に植えられたソメイヨシノのように群生するわけではなく、一本一本が与えられた場所で精いっぱいの花を咲かせます。

なにより私が美しいと思ったのは、花びらが水面にたゆたう花筏(はないかだ)です。
壱岐の澄んだ海は、春先にはエメラルドグリーンに見えます。底まで見透せる海の上、薄ピンク色の桜の花びらが波の間に列となって模様を作り出します。なんとも風情のある光景でした。

桜の画家として有名な笠 青峰氏も知人の勧めで壱岐を訪れたときに船からみた海桜の光景に大変感銘を受け、1.5X3.5メートルにもなる大作を残しています。その弟、笠 詔夫氏も壱岐が大好きで、何度も訪れては海桜の絵をたくさん描いています。

半城湾を巡る遊覧船の楽しみは桜だけではありません。
ガイドさんは気さくに話掛けてくれるので、船に乗ったもの同士仲良くなったり、三択クイズを出してくれたり。そして船長さんの船さばきの絶妙さ!「桜は触って折ってしまったらいかんとよ~」と言われるのですが、私たちの手が桜に届くところまで船を寄せてくれます。ちょっと間違えば船体で桜が折れてしまうのに、見事な船さばきです。

半城湾の遊覧船は例年3月の下旬から4月の上旬にかけて出港します。
桜の時期は短く、天候によって状況は大きく左右されるので、電話で桜の状態を確認されることをおすすめします。
遊覧船は要予約です。
壱岐の海桜をまだご覧になったことがない方はぜひ一度、足を伸ばしてみてはいかかでしょうか?

勝本漁協観光案内 電話0920-42-2020

≪この記事を書いた人≫

壱岐のとことこさん

夫の転勤で壱岐に来て3年。
すっかり壱岐の魅力にはまって、週末は夫と二人で釣りに出掛けています。
島暮らしは初体験でびっくりするようなこともしばしば・・・。壱岐の人・自然・食べ物や日常の体験をお伝えできればと思います。

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